エリザベート TAKARAZUKA 25周年スペシャル・ガラ・コンサート

 

(この時期でしたが、最後の有客での公演、そして一度きりの1998年宙組キャストでの公演。考え抜き思い尽く限りの感染対策をし、心して観劇させて頂きました。)

 

今回、幸運にもチケットを譲って頂いて、更に巡り巡って良いお席で観劇させて頂きました。思えば、5年前の20周年ガラ・コンサートのときも、譲って頂いたチケットで観劇したんだっけ…と、勝手にご縁を感じた私。

私は元々舞台が大好きなので、昔から観劇にちょこちょこ脚を運んでいた私が、コロナ禍になってからというものはほぼ引きこもり状態。この日、会場に足を踏み入れるや否や、会場の空気に肌が触れる感触や、久々にお会いできたファンのお仲間さん達との無言で身振り手振りの挨拶、公演グッズに並んだりと、一体いつぶりなのだろう…と、全身でぞわぞわ鳥肌が立ってしまいました。ギリギリまで行くかどうか悩んだけれども、来て良かったと、既にこのとき満足しきっていた…。

いざ幕が上がると、キャストの生の姿、生の声。そして、何といっても98年宙組メンバーの方々の並び…もうそれだけで涙腺が崩壊。「♪誰も知らない真実エリザベート」のオープニングの盛り上がりと相まり、幕が開いてこんなに早く泣いたのは初めてでした。そして、トート閣下の降臨…「♪天使の歌は喜び…」全身鳥肌ぶわぁぁ!!!

もう、これぞ、「姿月あさとさんしか勝たん!!!」といった感じでした。

(~しか勝たん、使ってみたかった…笑)

この「エリザガラコン」、宝塚版の初演から10周年のときに最初の開催、以来5年おきに上演されており、5年前の20周年のときのこともまだ記憶に新しいのだけど、今回、5年前の公演とは全っ然違いました…そう、出演者皆さんの!!気迫が!!!

このミュージカル「エリザベート」での楽曲がもの凄く大好きなので、どの曲も聴き惚れてしまうんですが、今日はもう、トート閣下含め全員からも音楽で びたーん!びたーん!と叩かれている感覚。

大鳥れいさんのシシィ、和央ようかさんのフランツ、湖月わたるさんのルキーニ、出雲綾さんのゾフィーと…みんな上手すぎる!今回のカンパニーは、大鳥れいさん以外は姿月さんが率いた初代宙組メンバーなので、元々歌のクオリティが高いことに加えて、皆さんの本気度ががんがん伝わってきました。

姿月さんは、本当にこのエリザベートという演目を、楽曲を、そして、トート閣下が本当に大っっっ好きで、この公演に懸ける思い、とても強くて重いものだったろうとずしずしと伝わりました。ご自身のソロコンサートやセルフプロデュースliveとも全然違う。トートが憑依した姿月さんが確かにあそこに居ました…いや、おいででした(笑)。

本当に、恐ろしいほどの気迫だった…。

「予定が狂うのは俺じゃない…ハプスブルク家だ!!!」も、ミルクの「今ぁ!!!!(落雷が見えた)」も迫力十分だったし、お歌も絶好調。あぁ、この、パイプオルガンのような声、そうだ、その声で、エリザベートの世界に連れてってくださるんだ…。「最後のダンス」のあとのハイトーンも聴かせてくださり、本来ならブラボー!!!と叫びたかったですが、ぐっとこらえて、その分精一杯拍手を送りました。

和央ようかさんは、意外にもガラコンサート初出演ということで、98年の宙組公演以来のフランツだったとか。何故か勝手にクールな感じを想像していたのですが(お顔がキリリとされているから?)フランツとしてすごくアツくて、とても素晴らしかったです。「最後通告」での「♪エリーザベ~~~」の求め方が情熱的で、そのあとのシシィの「♪お母様が聞いてくれる、貴方の話なら」の冷たさがより際立っていて、鳥肌が立ちました。
トート閣下の代表曲「愛と死の輪舞」「ミルク」「最後のダンス」に加え、段々のめり込むと、「私だけに」や「愛と死の輪舞」のリプライズが更に聴きごたえのある現象に誰か名前を…!一幕ラスト(私だけに(Rep.))も凄く好きな場面で、ここは各トートで歌い上げかたが全然違うんですが、姿月さんは「お前しか見えない…」までは十分に聴かせて、次の「愛してる」で一旦引いて、シシィの「私だけに」を聴かせ、最後もう一度「エーリーザーベーーーートゥ!!」って歌われるんですよね。その緩急・強弱の付け方が、今回はよりダイナミックな感じがしました。

また、「私が踊るとき」の最後も、他のトートの誰とも違う、一番高いオクターブ上の音を取られます。恐らくシシィの音とのハーモニーを優先して、姿月さんなりの拘りではと毎回思ってます。(個人的には他の方が歌っている音よりもすごくしっくりきたので)

トートになったときの姿月さんは、攻めた歌い方や、濁音を使ってガオォォ!!と歌われる場面も多く、確かに迫力満点なので姿月トートならでは見せ場でもあるのですが、あくまでもその場面の楽曲の聴かせ方のひとつであり、他の人とのデュエットや大勢で色んなメロディが入り乱れる場面では、他の声とのバランスを考えてとても器用に調整なさるんですよね。本当に音楽のプロフェッショナルで。

きっと、姿月さんってエリザベートの楽曲にすごく惚れ込んでいらっしゃるだろうと思う。とりわけ歌に関しては、楽譜を深く掘り下げ読み込まれ、ご自身の声を楽器と称される通り、まずは楽譜に忠実に奏でられることを第一に、そこに演じることによる感情表現が乗り、あとは周りとのバランスを調整する…といったような、姿月さんが持つ技術の集合体をもろ見せてもらえるというのも、魅力のひとつだと思います。歌い上げすぎて後ろめにリズムをとったり、感情に引っ張られてピッチが疎かになるとかは、きっと姿月さん的には音楽の美学に反するのだと思う。そういった意味では、一番分かりやすいお手本のような歌唱だとも思っています。

(終演後にパンフレットの姿月さんのインタビューを読んでいたら、↑みたいなこのを仰っていました。過去に何度も演られているのに、改めて楽譜を読み込んで譜面が真っ黒になったとか。そんな姿月さんの音楽に対する姿勢が、私はとても大好きです。)

湖月わたるさんの舞台まわしもめちゃくちゃ上手くてすごく格好良かった!舞台上のストーリーテラーの役割と、客席に向かってのパフォーマンス、どちらの空間にも自然に行ったり来たりするわたルキーニ、安定感が半端なくて!「マダム・ヴォルフのコレクション」でのマデレーネの場面はずっとオペラでガン見させて頂きました…「♪召し上がったのね」で指先でじゅるりと口元を拭うの仕草、最高でした…!!
姿月さんと朝海ひかるさんとの「闇が広がる」も最高でした!今までずっと、ルドルフはえまおゆうさんとの「同期コンビ」でしか観たことなかったので、宙組のコンビだ~!と感動…同期コンビも歌が上手くて相性も抜群なんですが、姿月さんと朝海さんはなんといっても身長差!ルドルフをすっぽり包み込んじゃうトート閣下…このキャスティングにした当時の人(小池先生?)、最高ですねありがとうございます…!

大鳥さんの「魂の自由」も素晴らしかった!この曲とても好きなんです!

私の「エリザの親」は、現役さん方の本公演ではなく10周年ガラコンなので、ここは白城あやかさんのが至高!として脳内に刻まれていたのですが、今日の大鳥さんも素晴らしかった…(大事なことなので2回目言います) 

続く和央さんとの「夜のボート」も、そして和央さんと姿月さんの「最終答弁」も怒涛の至極のアンサンブル続き、(姿月さんの「ちがぁぁぁあぅ!!!!!!」でまた最後にどっかーん!!されて)も、もう僕息が出来ないよ…

和央さんと姿月さんの並びってめちゃくちゃ格好いいですね。あの、もうこの際「激情」再演しません???←←←

出雲綾さんのゾフィーも貫禄ありまくって怖かった!(笑)本当に皆さん素晴らしかったです。大人のエリザベート、ここに極まれりって感じ。本当に本当にありがとうございました。

エンディングで、キャストのみなさんが順番に登場してお辞儀していき、最後に姿月さんが奥から登場され、階段を下りられる姿をみんなが後ろを向いて見つめ、前に出てきた姿月さんが客先の端から端に向かって礼、「♪その瞳が~」で皆さんが順番に周り、今度はキャストに向けてニコニコされる姿月さんの姿…、最高に宝塚のパレードで…最後でも涙腺崩壊しました。最高のカンパニーだ…

最後のご挨拶では、お稽古中もマスクしっぱなしで、会話も一切せず、お顔も半分しか分からない出演者ばかりだったため、最後にみなさんのお顔をよく見せてください、と、キャストのみなさんお一人お一人にお顔を向けられた姿月さん( ;∀;)

そして、自分たちがこのような感染対策をしてこれたのは、今日という日を無事に成功させたいという思い一心でだった。だからどうか、客先の皆さんも、お喋りせずに帰ってくださいね、(※ニュアンスです) と仰っていました。いつもの柔らかな口調でしたが、その説得力は大きくて。その後舞台に呼ばれた小池先生がマスク姿だったのをみてハッとしたのだけど、このマスク姿がスタンダードになりつつある今、キャストの皆さんはこの密の空間で、マスクなしで公演をやり遂げられて。もうこれからは、私たち観客達もマナーやモラルを大事にしないと公演自体が成り立たなくなるんだと改めて痛感したし、この先は出演者の方に「どうか会話は控えてください」と言わせないようにしなければ、と固く誓いました。

全身全霊で公演をやり遂げられた皆さんに、心からありがとうございましたと言いたいです。今回は本当に舞台の底力みたいなものも感じたし、この芸術、やはりどうしても守りたいなと思いました。そして、コロナは怖いけど、いじけてる場合じゃないね。

明日から私、全力で生きていきます。