信じて、走れ！

ドラマ「ドリームチーム」のこと。

今回は、ファン活としても新しいことを試みようと、各話ごとに感想イラストを描いてみることで、一旦は落ち着いた…つもりでいましたが、それでも正直なところ、もっやもや、もっやもやしっぱなしだったわけで。ちゃんと文章にまとめてブログにあげよ！と思っていたものの、新年度ゆえ仕事に追われゆっくり家のpcに向かう時間もなく。もうこのままスルーしちゃおうか、とも思ったんですが、この作品の感想はやっぱりちゃんと書いておかねば次の記事に行けぬと思いまして、とりあえず雑多に書き残し。

※今回、感想としてはだいぶ言いたいこと言ってしまいましたが、私のファン活モットーは「あくまでも推しは推し、作品は作品、私は私」なので、そこはご理解頂きたく…！(おい、何を書くつもりだ！)

• 「"あの子"になりたい人生」か

予告段階から作品のテーマとされていた「あの子になりたい人生だった」というキーワードに、最初から引っ掛かりがあった私です。だって、そんな風に思ったこと、私はないからです。そりゃ、石原さとみちゃんの顔になりたいだとか、観月ありさちゃんの等身バランスになりたいとか、あります！よ！！けれども、大ファンの財前さんに対してですら、憧れでも目標でもありますが、財前さんご本人になりたいと思ったこともありません。だって、その先の答えって「そんなこと思ったってなれないものはなれない」だし、100%無理な方向に羨やむことって、ただただ自分がしんどくなるだけじゃん。

正直、ネガティブなテーマだな、というのが、放送前からの第一印象でした。

明らかに女性をターゲット層にしているけれども、私は共感できないタイプの作品かもしれない、と思っていた。とはいえ、ドラマを観るのに登場人物にいちいち共感しないと楽しめないってことはなかろう。役者さんの３人共好きだし、と、視聴は決めていました。

• ３人は「こじらせ」ているか

それぞれの事情を抱えて、学生時代の寮に越してきて共同生活を送ることになった香奈(山口紗弥加)、優子(財前直見)、茜(桜庭ななみ)の３人。「私の人生、こんなはずじゃなかなった」と言わんばかりのお顔で、ぎこちないご対面の第一話。

香奈さんは就職氷河期世代のひと。就職が上手く決まらないまま結婚し、その後プロ主婦をやっていたわけだけど、キッチンカーもスキマッチも思いつきから実際に軌道に乗せる行動力は、そもそも備わっていた性分なのだろうなぁと思う。

あの旦那さんにも問題大ありだけれど、誰にだって間違いはあるわけだし、最後の姿を見ていたらやり直したって全然いいじゃん、と思いました。（現実はそう甘くはないでしょうが…）「自分の人生を人に委ねるの、間違ってる」という台詞がとても良かった。

茜の、「やりたいことが見つからない」というのは若い子ならではの悩みという感じで、「苦労せず生きられるのならそうしたい」なんて、世の大半の人間が思ってるよ。そんな態度の茜に対し、かつての同僚の女の子(先輩)が「みんなやりたくもない仕事だって、生きるために必死にやってんだよ」と感情をぶつけるところは、個人的には、変に茶化さず（先輩が悪い、という側面だけに寄せず）、茜ちゃんにももっと刺さって欲しかった。アカネン、笑ってる場合じゃないよ～！けど、ここで優子さんが先輩の肩を持ってあげたのは良かった。年上の人に共感してもらえたら、先輩も気持ちも少し救われたと思う。というか、見ていた私のメンタルが救われた(笑)。

茜と先輩は案外似たもの同士っぽいので、分かり合えたらめちゃくちゃ気の合う先輩・後輩だったろうなと思う。まぁでも、茜ちゃんの態度はだめだよね…。

最年長の優子さんが一番「こじらせ」描写だったことに、私はつっこみを入れたい…！以前のブログで、「東京ラブ・シネマ(2003年のドラマ)を見ていたら、晴子さんがコンプラ違反すぎるまで仕事ばっかりしていて当時の価値観がバリバリ描かれていた」と書いたけれど、まさに、会社でそれなりの地位を築くために男性以上に色んなものを犠牲にしなければならなかった世代ですよね。当時のドラマさえもそんな姿が当たり前として描かれていたこと、茜ちゃん世代としては「ありえない」レベルのことなんですよ。

優子さん本人にその自覚があるなら余計に、下の世代にその価値観を受け継がせないように語ってほしかった。いや、受け継がせるつもりは特になかったのでしょうけれど、茜に「私たちがどれだけ残業してきたか、分かったようなこと言わないで」って言うのは違うでしょって思ったし、そう言われたら「分かるわけないし、分かる気もないよ」ってなるのは当然で。そこが「リアル」とされても、今まさに現実に「そうならないように」生きている人の目線で見ると、そこの共感性は、ただただ見ていてしんどいだけなんだよな…と。

• 男性の描かれかた

も、気になった。香奈さんのDV旦那は、話のとっかかりとしてまぁ…として、茜が酷い思いしたのも男の所為、優子さんが理不尽な思いしたのも男が原因。そして寮に一緒に住む悠一さんは「こどおじ」と称され、IT社長・庄野さんのキャラも、一応 "笑いどころ" なのでしょうが、単に ”笑いもの” にされているようで、全く笑えなかった。この作品の世界での"男性"という描写に、なんだか悪意みたいなものを感じてしまった。女性にとって、男性ってそんなに「敵」ですかねぇ。「女もこじらせているが、男も男で結構アレだよ」みたいなことがいいたかったのかもしれないけれど。

• ”時代錯誤”は問題提起だったのか

その世代ならではの価値観を抱く３人のやりとりと、３人の間(友情？)に年齢は関係ない、という、作品の肝となる部分の描かれ方も、私には正直あまり刺さりませんでした。

「友情に年齢差は関係ない」のは分かるのだけれど、優子さんが自分の職場の上司じゃなかったとしても、明らかに年上なのだし、まず初っ端からあんな態度では話さないだろうし(茜)、主婦の生活の中で世界と隔離されたような気持ちで生きてきた人(香奈)がいるのに、「家のこと何でもやってくれる主婦みたいな人がいてくれたら(優子)」とか、なんだか無神経な発言じゃありません？気持ちは分かるけれども、言い方、もう少し何かあるよね。これ、もし男性のキャラが同じ言い方をしたら総叩きに合うと思うんですが…。

一番ひどいなと思ったのが、「ピンクは年齢を突き付ける色」だとか、「結婚や出産という女の宿題をさぼってきた」、「(恋愛をしないことは)女をさぼってる」、彼氏の有無でマウンティング、越川さんと優子さんの恋愛模様を「"シルバー"ラブ」と言わせる宣伝文句。どれもこれも。「今の時代になんでわざわざそんなこと言わせるのだろう」というフレーズのオンパレード。はっきり申し上げます。とてもセンスがなかったです。（このセリフを考えた方、ごめんなさいね…）

この台詞が問題提起になっていて、例えば茜や優子さん自身で「何歳で何色着たっていいじゃん！そんなの気にすんな！」とか、香奈さんが「何をもって"宿題"とするの？」と投げかけて、毎回３人なりの結論を出すっていうならまだしも、それを見てる側に丸投げしたまま終わってしまって。見ている側としてとても消化不良でした。

• 年齢を重ねるごとに振り返る時間が惜しい

特に余貴美子さん演じる、亡き？監督の奥さんには「年上の女の人に理不尽にキレられてる」ような気分になってしまった。余さんに旦那さんとは別の恋人がいたことを、寮のみんなで追及するのたけど、茜が「女っていくつになっても女なんだ」と言わせるに、「その歳になってもまだ恋愛とかするわけ！？」という空気がその場に漂っていて。それに対して余さんが「あんたたちが女さぼりすぎなのよ！」と返すのは、つまるところ、「あんたたちよりも自分の方がまともである」と言いたいわけで、優子さんや、優子さんよりも年上の余さんぐらいは、他人と比較してどうの、よりも、「自分の人生なんだから人の目なんて気にせず好きなことしたっていいじゃない！」とスパッと言い切ってほしかった...。

みんな、所々、相手に対してだったり、時には自分に対して、一言で思いっきり傷つけるようなことを言ってしまう場面があったんだよね。そのたびに、見ているこっちが痛めつけられているような気分になってしまった…。
私にも、職場や趣味などを通じてできた年上の友人がいるけれど、というか年上の人に限らずだけど、自分の人生を否定するようなことを言うのは、自虐でも言うのやめよ！って思うし、むしろ、年齢が上がるにつれて、どんどん考えが前向きになっていくようと思っている。だから、この３人を見ていても、この人らと友達になりたいとも、一緒に住みたいとも思わなかったし、ただ「こういう人たちもいるんだね…」という俯瞰で観ていたという感覚でした。

あまり他の作品と比べてどうの、と比較するの好きではないのだけど、同時期にやっていた、アラフォー女性が前向きに生きていく姿を描いた「その女、ジルバ」がとても良くて。このドラマと一番違ったのは、ジルバは観たあとに「私も明日、ヒロインのこの気持ちを１つ持って出かけよう」という気持ちになれたところ。

やはり、登場人物の全てに共感はできなくとも、明日が楽しみになるようなお話だともっと楽しかったなぁ、と思いました。

• 何を信じて走ればいいのか

作品のもうひとつのテーマである「信じて走れ！」。

何を信じるの？という問いに、ヒロインの３人は見事にバラバラでしたが（優子「勝利」、茜「自分」、香奈「チーム」）、私も茜ちゃんと同じ、「自分」かなー。

多分、茜ちゃんが言う「自分」とはニュアンスが違うかもしれないけれど。

勝利を確信するのも、チームを信じるのも、自分の勘だったり、信頼関係でチームを築き、そのチームで目標に向かって「勝ちに行く」ことも、元を辿ればすべて「自分の行動にあり」ということで、自分を信じて走ろうかな、と思います。

出演者の皆さんのお芝居は見ていて楽しかった～！

山口紗弥加さんは、これまで結構癖強めの役柄が多かったために、普通っぽい役に憧れていたと仰っておられたけど、本当に気合が凄く入っているのが伝わってきました。酔っ払ってる姿も、旦那さんにビビっている姿も、環ちゃんとの場面も、どれも本気の表情で、こういう山口さんのアツさ、とっても素敵だなぁと思いました。

財前さんは、１話を見たときは「うわぁ～～今回は癖つよタイプに寄られたな…」と思ったのだけど、段々キャラが崩壊してきて、財前さん色に濃く染まってゆく優子さんに笑ってしまった...別の意味で癖つよになってゆく優子さん(笑)。ヤンキーコスプレとか、どこに向かってんねん…って感じだったけど、めちゃくちゃお似合いなので文句なしです。(笑)

桜庭ななみちゃん、「スカーレット」の優子ちゃんがすごく好きだったので、またお芝居が観れて嬉しい！最終回のキッチンカーみて走り出したり、香奈さんの会議に乗り込んでいって土下座始める度胸の見せ方がカッコよくてスッとした！いつか、繊細な心を持つ役柄のお芝居とかも見てみたいなぁと思いました。