35歳の少女

を、追いかけながら観ている。

 

■久々の遊川和彦先生作品

遊川先生の作品を観るのは、映画「恋妻家宮本」以来(遊川さんと天海祐希さんとのタッグが好き)。毎回謎めいたキャラクター設定や、ショッキングな展開が繰り広げられる個性の強い遊川作品だけど、その中で訴えかけられるテーマがとても好きで、視聴後に泣くことも少なくない。

今回も、「10歳のときに事故にあい、25年間もの眠り続けていた少女が目を覚ます」という設定からして既に泣きそう。ただそう単純でなく、人間関係の絡み合いが濃いので、毎回、ココロに気合いを入れて観なければならぬ。

 

■出演者全員推せる

ヒロインの柴咲コウさんをはじめ、お母さん役は鈴木保奈美さん、お父さんに田中哲司さん、妹役に橋本愛ちゃん、そしてヒロインの幼馴染に坂口健太郎さん…と、とりあえずキャストが全員好きな方だし、そして作品の世界と役者さんが見事にきちっとハマっていて素晴らしい。

 

橋本愛ちゃんが、もう30代の役!?嘘でしょ!?と思ったのだけど、ご本人は24歳でした。とても私と同年代には見えないもん…(自分で言っていてなんか哀しい笑)

柴咲コウさんと姉妹役なの、まず、お顔立ちの観点からいって最高だと思う。本当にここだけでありがとう!っていう感じ(笑)。

彼女に対しては、いわゆる「ツンデレ」が似合う女優さん、というイメージがあるのだけれど、その「ツン」のところにいつも可愛らしさが見え隠れしていて、あの絶妙な「可愛げ」が私はとっても好き。2話のラストシーンで、お豆腐を食べながら「久々に食べたけどさ…そんなに美味しくないじゃん」っていうところの、言葉とは裏腹の感情に泣いてしまった。今後、目が覚めたお姉ちゃんとの接し方やコンプレックスにどう向き合っていくのか、想像しただけで今から切ない…。

 

坂口健太郎さんは、ドラマでは初めて拝見した…というか「映画FF 光のお父さん」以来、拝見するのはたったの2度目ですが、ちょっとやさぐれた役が似合っていて格好いい…!1話では「夢みせてあげられんですまねーな!」と怒鳴りだして、やばい、クズキャラだったら私のメンタルが持たない…と思うほどだったのですが、なんだかんだと望美ちゃん(柴咲コウさん)のことを気にかけてあげているところが可愛い。

心が10歳のままの望美ちゃんと接することで、彼の中で薄れかけていた「10歳の自分」が、少しずつ光を浴びていくような感じなのかな。

私も10歳だったときの自分が、自分でもとても好きなので、この作品で一番共感できるキャラクターを演じられているかもしれない。

 

鈴木保奈美さん演じる、25年前と今のお母さんの差について、なんというか、「髪色を白髪交じりにしたからってとてもおばあちゃんには見えない!」とか、そういう話ではなく(加齢により白髪になったというよりも、神経をすり減らしすぎての心労などがたたってのことではと思っている…)一番の闇すぎて…。ふわっとした感覚なのだけど、遊川作品で描かれる「絵にかいたような幸せな家族」って、そういったかたちを作ることが家族というかたちなのか、とか、それが本当に幸せの象徴か、ということも投げかけているような気がする。また、どの作品にも「一見こういう役をしなさそうな人が演じる役」を担う人が必ずいて、(「女王の教室」の天海祐希さん、「家政婦のミタ」の松嶋菜々子さん、「〇〇妻」での柴咲さんなど)そういったキーパーソン的な位置づけにいるのが今回の鈴木保奈美さんなのだなーと…。あんな怖いお母さんになってしまった経緯はこの先勿論描かれるだろうけれど、ある意味での「母と娘の物語」という視点にも注目したい。

 

最後になってしまったけれど、ヒロインを演じる柴咲コウさん。

10歳のまま時が止まっている役だなんて、どれだけ難しいのだろう…と思うのだけど、例えば、もっと年老いた役を演じる(自身が未だ経験したことのない)ことだってあるのだから、どんなお芝居もやれてしまう役者さんって、本当に凄い…。凄い、という、月並みなことしか言えない自分が歯がゆい…。

私は、柴咲さんのお芝居が10歳に見えるとか見えないだとかっていうことは正直分からないのだけれど(だって10歳の女の子がどんな感じなのかなんて、知らないし…)、25年前を演じている子役とのリンク(心の声は子役で、動きは柴咲さん)の違和感のなさが凄いなぁと思って観ています。柴咲さんの楽曲で、「また、うまれるころには」という曲がとても好きなのだけど、その曲を聴いたときと同じような純粋さの色にも惹かれています。あと単純に、ドラマで柴咲さんが観られて嬉しいな~。